ヘアースタイルの秘密

テレサ・テン：（映像の説明）ここが、私がラストコンサートを開いた東京のNHKホールです。
いよいよコンサートが始まるときになって、私はかなり緊張してました。
コンサート会場にお客さんが入場してきました。私がラストコンサートを開いた東京のNHKホールです。

---

凌峰：台北のラストコンサートは[*1]大成功でしたが、その後、ちょっと休養しましたよね。
テ：その通りです。
凌：東京での最近のコンサートについて、話してもらえますか。
テ：えっと、長い話になりますが…。私はその10年前に日本でデビュー[*2]をしました。
凌：その時、成功したのですね。
テ：その後（パスポート事件で）日本を離れ、５年後の1984年に再デビューをした[*3]のですが、そこで、幸運にも超名曲「つぐない」に出会えました。そして「つぐない」は、日本で大ヒットしました。この成功が、1985年のNHKホールコンサートのきっかけとなりました。
昨年12月15日のこのコンサート、日本では９年ぶりだったかな。
凌：３年前、日本にカムバックしてから、この「つぐない」を歌ったのですね。
テ：ええ、そうです。
凌：この歌「償い」ですが…日清講和条約と何か関係がありますか。
テ：もちろん、関係ありません。
凌：不動産との関係はどうでしょう。
テ：いえ、それも無関係です。ラブソングです。聞いたことがないのですか。
凌：ごめんなさい。聞いたことないんです。
テ：えっ？　こんな素晴らしい歌を聞き逃しちゃ駄目です。
凌：今度は、日本のコンサートでのヘアースタイルについてです。みなさん、もう見慣れましたよね。
テ：この髪型の発想は、実は京劇の登場人物「花旦」のメイクから得ました。これでご理解いただけるでしょうか。

凌：お友だちは、その髪型を見て何か言ったのでは？
テ：特に誰も、良くないとは…。
凌：みんな、良かったと？
テ：良いとは言いませんでしたが、あえて良くないとも言いませんでした。
凌：この髪型、見るからにとても厄介物だったのでは？
テ：その通り。厄介がられました。ヘア・ドレッサーを説得するのには６時間かかりました。
凌：手間がかかっているだけあって、良かったですよ。
テ：え、本当ですか。男は、違った見方をしますからね。
凌：何本、編んだのですか。
テ：数えませんでしたが、できるだけたくさん、多ければ多いほど良いとお願いしました。
凌：髪がかなり薄くなっていましたね。
テ：あなたほどではありませんが。
凌：私は男ですよ。散髪もあっという間にすみます。
テ：その通りです。それが男女の違いですね。
凌：あなたの髪型をまねたら、私のレコードは売れないでしょうね。
テ：私の髪型にするなんて、ショックですよ。
凌：私があなたのような髪にしたら、私のレコードも大ヒットということでしょうか。
テ：何とも言えません。似合うかどうかは、顔次第かも知れません。
凌：あなたの考えだと、髪型が音楽の成否を握っているということですね。
テ：そうです。
凌：結論として、レコードの売り上げは髪の長さ次第で、長いほど有利だと？
テ：そうです。
凌：禿げ頭の役者・凌峰さんは売れなくなりますね。
テ：そうで･･･いえ。そんなこと、ありません。

[*1]　1984年1月7日・8日　台北中華体育馆「"十億個掌聲" 15周年巡回演唱会」
[*2]　1974年3月1日　『今夜かしら明日かしら』でデビュー
[*3]　「つぐない」は、1984年1月21日に発売されたテレサ・テンの14枚目のシングル。これがカム・バックの意味での再デビュー。それ以前、「空白の５年」の間にも何度か日本に来て、テレビの収録などをしている。