「チャイナ・ドレスを着てステージに立てることを誇りに思ってる」 月刊「ヤング」1977年9月号

今月の顔<17>
テレサ・テン
言葉を超えた〝心〟の歌を!

撮影/本田昌之 題字/小柳ルミ子

 鄧麗筠……芸名・鄧麗君。15歳でデビュー。香港を中心に、台北、シンガポールなど東南アジアで活躍。その人気は、想像を絶するものがある。日本での芸名・テレサ・テン。
 8月10日、3週間余りの〝鄧麗君〟としての活躍を終え再来日したテレサを、TBS「ドリフターズ全員集合」の会場に訪ねた。
「香港、シンガポールを中心にショーをやってきました。台湾では、一週間のテレビ・ワンマンショーをやったりね」
 昔から〝支那美人〟といわれるように中国女性特有の美形。卵形の顔にニキビがチラホラ。
「顔は、まあまあ好好きね。でも、鼻は嫌い ニキビは、いくら薬を使っても治らないから諦めたの」といい、性格を「おとうさん似で気が強い方」と分析。
 台湾の美容院で、注文通りの髪型にならずイライラしたことがあったそうで、意外に気は短いよう。
 来日早々のインタビューとあって「心はまだ台湾にあるのね。気持ちを入れかえるのが大変で…」といい、「半年に一回しか帰れない(ビザの書き換えで)こともあるけど、それに、日本では仕事と遊びの区別がむずかしいのよね」
 だからというわけか、仕事を終えたその足で食事やショッピングに出歩くことを好まない。
 歌を、仕事を「自分の命の一部」というぐらい厳しい彼女だがフッと「恋もしたい。ショッピングの時、男の人にネクタイを買ってやるのなんていいね。女のコは強すぎてはよくないよね」と22才の女性の姿も見せる。
「私ね。外国で自分の国のドレス(チャイナ・ドレス)を着てステージに立てることを誇りに思ってる」という彼女の歌を聴いて、日本人が忘れかけている郷愁を感じるというフアンは多い。
「言葉は通じなくても、歌は〝心と心〟という彼女。今、最新曲『あなたと生きる』でその〝心〟を聴かせてくれる。

(写真キャプション)
■本名 鄧麗筠 一九五五年一月二九日生れ 台湾出身 趣味/読書