「鄧麗君之歌第一集」は3つのプレス
3つのプレスだけでなく…
すでに述べてきたように、「鄧麗君之歌第一集」には3種類(さらに加えて1種類)のプレスがあることが分かっています。
ところが、インターネット・オークションに出品されていた「鄧麗君之歌第一集」の内容を見ると、さらに別のバージョンが存在する可能性が考えられます。ただし、以下はあまり他で語られていないことなので、不確かな情報です。
オークションの出品内容
下のジャケットを見ると、『女兒圈』が入っているので単純に考えると、ファースト・プレスということになりそうですが、出品のコメントには下のように記載されています。
A-4「女兒圏」歌詞は当時の検閲を通す為のダミー掲載となる(ジャケ表にも同様の印刷)、これが【純正初回盤】の証となっております。
確かに、裏面の歌詞部分にも『女兒圏』の歌詞が記載されています。
これに関しての出品者のコメントです。
「女兒圏」タイトルにチェックマークが付いているのは、当時の購入者が実際の収録と歌詞が異なっているのは何故か?と記入した為のものとなります。
オークションのタイトルです。
「鄧麗君/検閲の為、ダミー曲の歌詞をジャケに印刷の純正初回プレス/鄧麗君之歌第一集(宇宙唱片/YEU JOW RECORD:AWK-003 1st LP(テレサ・テン」
あたかも、ファースト・プレスの仕様として、ジャケット(表・裏)に『女兒圈』と書かれていても内容は『幾時你回來』である(従って『女兒圈」の収録されたレコードは存在しない、ともとれる)ような記述です。残念ながら、ジャケットの表・裏の『女兒圈」のことには言及されていますが、レコード本体のレーベル、あるいは録音が『女兒圈」ではなく『幾時你回來」になっている、という記述がありません。
レコード本体が『幾時你回來』を含むとすると、ファースト・プレスには、ジャケットの曲名が『女兒圈』で、収録曲目(レーベルも)が『幾時你回來』 というバージョンと、ジャケットの曲名が『女兒圈』で、収録曲目(レーベルも)も『女兒圈』という2つのバージョンがあることになります。
- ファースト・プレス(A) ジャケット4曲目が『女兒圈』と記載(民國56.9出版) AWK-003
4曲目の収録曲は「幾時你回來」 - ファースト・プレス(B) ジャケット4曲目が『女兒圈』と記載(民國56.9出版) AWK-003
4曲目の収録曲は「女兒圈」 - セカンド・プレス ジャケット4曲目が『幾時你回來』と記載(民國56.9出版) AWK-003
- サード・プレス ジャケット4曲目が『幾時你回來』と記載(民國五十六年十月出版)AKW-003
オークションの出品者の記述に従えば、前者(A)がファースト・プレスであるが、検閲のことを考えるならば、ジャケットも内容も『女兒圈』になっているバージョン(B)を先にプレス・販売するのが自然でしょう。
A面レーベル4曲目として『女兒圈』と記載された写真もあるが、セカンド・プレス以降で、「ジャケットは『幾時你回來』でレーベル・内容が『女兒圈』」というものをプレス・販売する必要はありませんから、『女兒圈』を収録したものは「ファースト・プレス」で考えるのが自然です。
もし、オークション出品者の説明の通り、ファースト・プレスに2種類のバージョンがあるとすると、『幾時你回來」を収録したファースト・プレスはレアものということになるかも知れません。
この、外は 『女兒圈』で、中は 『幾時你回來』 という 「レアもの」第1集が検閲対策で意図的に作られたのか、セカンド・プレスのリリースの前に、ジャケットのみ従来の『女兒圈』をそのまま使い、レコード本体は新しいプレスを使ってしまったという、偶然(またはミス)による産物かも知れません。
なお、『女兒圈』の曲名が書かれたジャケットに、『幾時你回來』 を収録したセカンド・プレスのレコード(ファースト・プレスと同じく「民國56.9出版」とレーベルに記載)を入れれば、容易に この「レアもの」の偽物は 作ってしまうことができることになる。
その場合は、
- ファースト・プレス(A)
ジャケット4曲目が『女兒圈』と記載(民國56.9出版) AWK-003
4曲目の収録曲は『幾時你回來』
というバージョンは存在しないと言えます。