アルバム『淡淡幽情』
『淡淡幽情』の12曲
獨上西樓(詞牌:相見歡)~ひとり西楼に登る
但願人長久(詞牌:水調歌頭)~長寿を願って
幾多愁(詞牌:虞美人)~悲しみが流れていく
芳草無情(詞牌:蘇幕遮)~無情な草の緑
清夜悠悠(詞牌:桃源憶故人)~寂しい夜に
有誰知我此時情(詞牌:鴞鴣天)~この心は誰も知らない
アルバム『淡淡幽情』(日本版)のライナーノートより
<解釈>
あなたが鳳城を離れる時、玉の飾りの艶も消え失せ、咲く花も悲しげだし、あなたを送別するための蓮の花や楼の下の青々とした柳にさえも活気がない。私は酒杯を挙げて別れの「陽関曲」を唱い、あなたを見送って名残が尽きずに遠くまでついて来てしまった。せめて夢の中であなたに逢いたいが、いい夢はなかなか見られないものだ。私のこの気持ちを分かってくれる人は誰かいるだろうか。私は涙の滴で枕をぬらし、外は雨の滴が降りしきる。窓を隔てて、共に夜明けまで流れ続ける。
<解説>
作者の轟勝攻は末の時代の有名な才色兼備の芸子で、宋朝の大臣、李之問に見染められて同棲した。この詞は作者が李之問と別れて数日後、変わらない思慕の念で作った。作り上げた詞は人を介して李之問に手渡され、李之問が自宅に帰ったときに妻に見つかってしまったが、彼は正直に打ち明けた。妻はこの詞の文句が健全なのを気に入り、李之問に沢山の嫁入り道具を持たせて正式に轟勝攻を妾に迎えた。この物語は美談として詞壇に伝えられたという。この詞は真撃で心がこもっており、恋する人の熱烈で甘い情感、痴情をよく表現している。
臙脂涙~涙は赤い花びら
萬葉千聲~離別の哀しみ


人約黄昏後~彼と契った黄昏
相看涙眼~別れの涙
欲説還休~憂愁
思君(詞牌:卜算子)~あなたを偲ぶ
『淡淡幽情』関連資料
テレサ畢生の力作、そして問題作―中村とうよう
日本版CDのライナーノート掲載の文章。
1995年5月8日、テレサ・テンが急死した。42歳の若さである。アジアの生んだ不世出の大歌手が、志なかばにして倒れたのだ。中国人として台湾で生まれたテレサにとって、生涯を通じての最大の問題が中国大陸との関わりだった。この『淡淡幽情』というアルバムは、彼女の中国人としてのプライドを賭けた作品であり、彼女と大陸との関わりをヌキに語ることはできない。
大陸の民衆はテレサの歌が大好きだし、テレサも彼らに愛情を抱き、ぜひ大陸で歌いたいと、機会あるごとに言明してきた。…
→ 続き(パスワードが設定されています。)