ギャップが堪らなくて 片岡鶴太郎
日本で彼女の存在が広く知られるきっかけとなったのが、1974年12月の『日本レコード大賞』。代表曲となる『空港』で新人賞を受賞し、衝撃を与えた。
当時、その歌声に魅了されたのが俳優で画家の片岡鶴太郎(70)だ。
「『空港』が発売された1974年7月、新人歌手が登場する歌番組の生放送を観て初めて聴きました。耳にした瞬間、圧倒的な歌声にハッとさせられた。テレサさんは清楚で可愛いなかにも色気があって。
見事な歌いぶりに聴き惚れて、見惚れてしまった。思いはグッと伝わるのにどこかあどけなく聞こえる発音の、そのギャップが堪らなくてね。『こんなすごい人が出てきたのか』と思いました」
週刊ポスト2025年3月21日号
片岡鶴太郎は1954年12月21日生まれなので、テレサ・テンと約2歳違いです。(テレサ・テンは1953年1月29日生まれ) 『空港』を初めて聞いたのは、片岡が19歳のことです。
ちなみにその頃の片岡は…。
生活のためしばらく土木作業員などの仕事を経験した後、1973年に声帯模写の片岡鶴八に弟子入りし、声帯模写で東宝名人会や浅草松竹演芸場などの舞台に出演するようになる。
師匠の鶴八は「声帯は人によって違うから、君に僕の芸はそのまま教えられない」と、芸を教えてくれなかった。