「日大楽しかったよ」(テレサ・テン)
渡邊プロ発行の「Young ヤング」1978年2月号、「ファン・インタビュー」の記事です。
1975年4月号の「ファン・インタビュー」でも取り上げられています。
「来日五年目。」「今年は元旦から日劇の「ドリフターズショー」に出演し人気を呼んだ。千秋楽2日後、西銀座「メイツ」出演前の彼女にインタビューしてみた。」「去年のヤクルトホールのコンサート(4月22日)でファンクラブに入ったんですよ。」「それから今日(1月12日)から20日までLPの録音が忙しいの。」などの内容から、1978年1月12日のインタビューと分かります。
ファン・インタビュー
<第一一三回>
テレサ・テン
歌の心はどこの国でも変わらないョ!!
来日五年目。日本人の情感にすっかり根を
おろした歌唱が人気のテレサ・テン。今年は
元旦から日劇の「ドリフターズショー」に出
演し人気を呼んだ。千秋楽2日後、西銀座「メ
イツ」出演前の彼女にインタビューしてみた。
「メイツ」に近い喫茶店「サンバード」。 待ちうけるファンの川井さん御夫妻と大学生の大熊君はやや緊張気味。そんな中を寒さには弱いテレサが毛皮のコートを着て現れた。簡単な自己紹介のあと質問はさっそく開始された。
☆
川井(一) 暑い台湾で育ったテレサにとって、今日みたいな寒い日はどうですか。
テレサ やっぱり弱いですね。寒いのあまり好きじゃない。だから日本でも沖縄が一番好き。暖かくて……。
大熊 沖縄が好きなら泳ぎはできますか
テレサ できます。でも海ではできない。つかまるところないし、あぶないですよ。海、まわり何もないからこわいね。
大熊 スポーツは他に何が好きです?
テレサ テニスとか卓球とか。でもあんまりうまくないね。去年、正月番組の運動会で体力無いと思ったから、今年こそスポーツしたい。マラソンでもしたいんですよね。
川井(ひ) とても素敵なプロポーショ
ンだけど、食事は制限なさっているの。
テレサ 別にね、全然かまわないんですよ。私なんでも食べるの。お腹いっぱいいになったの時は、あっいけないと思うけど、また食べちゃう。
川井(ひ) お料理もなさるんですか。
テレサ たまにしかしないですね。全部お母さんにまかせちゃうから。それからウチの台所小さいですよ。2人いると混むんですよ。お母さん太ってるでしょ。だから。
川井(一) やっぱり中華料理?
テレサ そうね。ウチのお母さん料理うまいからね。外で食べる時は日本料理ね。茶碗蒸しとか焼き魚ね。外の中華料理まずいね(笑い)
川井(一) やっぱり日本人の好みに合わせて作ってるんでしょうね。私も戦
争中、中国にいたけれど塩味なのね。
テレサ へーッ。どこにいたの。
川井(一) 山東省に四年程ね。
テレサ ウチのお母さん山東省出身よ。中国語しゃべれる?
川井(一) もう忘れちゃったね。
大熊 テレサはだいぶ日本語うまくなりたけど、どんな風におぼえました?
テレサ 私はみなさんの話をよく聞いていたね。それでおぼえた。それから車で外走っている時、看板のひらがな、カタカナを勉強したの。漢字は読みかた違うけど意味わかるから。
川井(ひ) 日本の文化は中国から来たものだしね。親戚のようなものですね。
大熊 だから、テレサが日本の演歌を歌っても異和感がないのかな。歌詞のひとつひとつの意味はわかりますか。
テレサ わからない言葉もあるけど、全体的に意味をつかもうとする。いい歌はフィーリングでわかるね。
川井(一) 歌心はひとつということだ。
川井(ひ) その心を勉強するために日本に来ているんだっていっていたんですよね、いつか。
大熊 台湾では男性4人の兄弟の中で育った女性でしょ。台湾の男性と、日本の男性比べてどうですか。
テレサ なんかこう、日本の男性すごくエバってるね。(笑い)
大熊 台湾の人はもっとやさしい?
テレサ やさしいっていうか。例えば男性の方から話しかけて来るでしょ。こっちは、女の子から話しかけても返事
1ページ(雑誌32ページ)下部欄外
◇テレサの好きな日本料理……インタビューにあるとおり、日本に来た当時は茶碗蒸しと焼き魚(サケ)ばかり食べていたが、さらに
牛肉のしゃぶしゃぶを食べてから大のしゃぶしゃぶ狂いになってしまった。とにかく台湾に帰っても「しゃぶしゃぶたべられないこ
とだけが本当に残念ですね」というほどなのだから相当な好物なのだ。