渡辺プロ会報『ヤング』
1977年
5月号
渡辺プロの芸能人たちそれぞれの「母」についての記述です。テレサ・テンの「母」の記述は、右ページの中央部分です。
台湾から日本へきて活躍中のテレサ・テンにとっては、母は世界一やさしく、想いやりのある人だという。15歳の時、台湾でデビューした際、最初の仕事が一ヵ月でなくなり、くやし涙にくれたテレサをやさしく励ましてくれた母でもある。
今、原宿に母と二人暮らし。異郷の地、日本も寂しくないとのこと。母の日と誕生日には一切の家事はテレサがやっているそうだ。
小規模とは言え、初のコンサートらしいコンサートとなった、新橋・ヤクルトホールでのコンサートが取り上げられています。
「コンサート その3 愛をあなたに」というタイトルのみ読めますが、記事本文は読み取れません。
写真キャプション
- 両わきにスリットの入ったチャイナドレスで「ふるさとはどこですか」を歌う
- ▼先日キャンペーンで訪れた福島県三島町町長夫人も激励に駆けつけた。
- 初めてミニ・スカートも披露。山崎イサオとポップス。
6月号
クローズアップ
テレサ演歌がますます人気を集めてきて
いる。それを実証したのが『ファースト・コン
サート』であり、今後を占うキーにもなる。
テレサ・テンには躍進のチャンス到来だ。
日本人が忘れかけている郷愁を巧みに歌うテレサテンの演歌
特別寄稿 本橋栄治(音楽評論家 )
歌唱力を再認識した
初めてのコンサート
涙でマツ毛が濡れた……などはまだ序の口だった。うれし涙で、とうとう、マスカラもとれてしまった。フィナーレのテレサ・テンのステージだ。
その夜、正確には、昭和五十二年四月二十二日。東京・新橋のヤクルト・ホールは超満員の聴衆で、立ち見客まで出る始末だった。
なにしろ、テレサ・テンの初めてのコンサートである。ドッとファンが押しかけたのも無理はない。
『愛をあなたに・ふるさとはどこですか』というタイトルでのコンサートだけに、ヤングも、大人も、先を争って、駆けつけたようだ。男女半々の顔触れ。
テレサ・テンが“特別町民”になっている福島県三島町の人たちもバスを借り切って乗り込んできたほどだ。
人気の根強さを物語る一面でもある。客席の熱気をテレサ・テンが感じないわけがない。オープニングは少々アガリ気味で。
「足もガタガタしているの」
といいながらも、徐々に、調子を上げていく。さすがの歌唱力である。
好評の新曲『ふるさとはどこですか』からはじまり、『空港』などオリジナル・ヒットをうたったあと、歌で、聴衆たちのふるさとめぐり。
『長崎は今日も雨だった』『女一人』『襟裳岬』『花笠音頭』『旅姿三人男』などムード歌謡から民謡、さらにはフォーク、演歌と多彩なレパートリー。
ナマのステージに、あまり接したことのない聴衆は、びっくりして、あらためて、テレサ・テンの歌唱力を再認識する。客席のあちらこちらから、
「うまいねえ」「素晴しい」
驚嘆の声が沸き起る。
テレサ・テンには、ポリドールレコードから出したオリジナル・アルバム『ふるさとはどこですか』がある。
ファンならば、このアルバムを聴いて、惚れぼれするはず。これほど、見事に演歌をうたう若い歌手も少い。しかも、日本人以上に日本の歌心をにじませて……
一時期、我が国の歌謡界には、東南アジアからの歌手がしきりと目立ち、ブームのようになったこともある。
だが、結局残っているのは、テレサ・テンであり、学業復帰したけれど、今も人気のアグネス・チャンぐらいか?
それほどテレサ・テンの場合は、日本に密着しているともいえそうなのだ。もちろん本人自身もおおいに努力している
その努力の一端を、このコンサートでも披露した。島倉千代子の物真似で『からたち日記』をうたったとき、客席は、拍手の渦が巻き、さらに『岸壁の母』で舌を巻いたのだ。
いつもレコードやテレビでしか、テレサテンを見たり、聴いたりしているだけでは真価を見失ってしまうだろう。こういった説得力までステージから発電し、発光するのだから……。
しかも、サービス精神も忘れていない。『ダイアナ』から『オーキャロル』『カラーに口紅』などの“ナツメロ・ポップス”をうたったときは、本邦初披露! のミニ・ドレスまで客席をたんのうさせたものだ。
だが、見事な脚線美を引き立たせるつもりなのか、テレサ・テンのバックで踊る四人のダンサーがひどかった。
女子プロレスまがいのボリュームのあるダンサーを起用したのはなぜか? 場内の失笑を買うほどだった。熱唱するテレサ・テンに対して、デメリットになるはずだ。
そういった雰囲気をガラリとかえたのが、チャイナ・ドレスに着替えてからテレサ・テンの日本語と中国語で歌った『港町ブルース』であり、中国語の『香港の夜』『何日君再来』で、熱唱の連続でフィナーレへともりあがっていた。約三十曲をうたった。
『ファースト・コンサート』は盛況裡の大成功――。幅広く、彼女の魅力を認識させたともいえる。
ただ気になる面もあった。司会者の人選である。今回のファースト・コンサートでは司会者を採点するのは酷かもしれない。だが、第一回目だから、なおさらだといった声もある。同感だ。第一印象は大切だから……。
あえていうならば、あまりにも司会者がでしゃばりすぎるのだ。司会はひかえめに、テレサ・テンの魅力を最大限に出す工夫が必要なのにともすれば、自分を前面に出してくる。
テレサ演歌の雰囲気を客席に浸透させ、じっくりと聴かせる仕掛けをしなくてはいけない。それが司会者の役目でもある。
このあたりも反省して、二回目のコンサートを秋に催してもらいたいものだ。
この秋にはテレサが
各歌謡ショーの対象に!?
ところで、秋といえば、例年のことながら“歌謡ショーレース”の開幕となる。テレサ・テンが出場しなくては、おかしいのではないかといった下馬評も出てきた。
大賛成である。彼女ほどの歌唱力があれば当然だ。テレサ演歌という独特の世界を造りつつあるだけになおさらで、『ふるさとはどこですか』の出足も好調。
これをスプリング・ボードとして、さらに大きく成長させるように努力するのが、彼女の周りにいるスタッフの使命だともいえそうだ。
日本人が忘れかけている郷愁を巧みにうたう点でも抜群の歌唱力を持った証拠だ。しっとりとした情感も出せる。ていねいにうたって、聴くものの心の琴線に触れてくる。
こういった独特のテレサ演歌を極端に変えてしまうのは危険ではなかろうか。素直に心にしみる歌をうたわせてこそ、日本レコード大賞候補、あるいは歌唱賞候補にランクされてくるはず。
テレサ・テンは一歩一歩着実に歌の境地を広げてきている。早々、歌唱力を身につけてファンを吸収しひたすらうたう。これは大変な精進のたまものだ。
もちろん、うちに秘めたファイトもある。でなければ、今日のテレサ・テンはない。彼女が第16回日本レコード大賞新人賞を手中にしたのは昭和四十九年だった。
この時、同じように栄冠を得たのは、浅野ゆう子、荒川務、城みちる、西川峰子、麻生よう子(最優秀新人賞)たちだ。その新人賞歌手たちとテレサ・テンを比較してみることはさけよう。その人気度、歌唱力、いまさら……である。テレサ・テンの今後は、大いに期待できる。頑張って年末へ突き進もう――。
写真のキャプション
(右ページ)テレサ・テンはこのコンサートでは初めてのミニ・ドレスも披露
(左ページ)日本人以上に日本歌心をうたい上げるテレサ・テン
山崎イサオの所有する当日の写真。記事中の「ダンサー」が見える。
9月号
今月の顔<17>
テレサ・テン
言葉を超えた〝心〟の歌を!
撮影/本田昌之 題字/小柳ルミ子
鄧麗筠……芸名・鄧麗君。15歳でデビュー。香港を中心に、台北、シンガポールなど東南アジアで活躍。その人気は、想像を絶するものがある。日本での芸名・テレサ・テン。
8月10日、3週間余りの〝鄧麗君〟としての活躍を終え再来日したテレサを、
TBS「ドリフターズ全員集合」の会場に訪ねた。「香港、シンガポールを中心にショーをやってきました。台湾では、一週間のテレビ・ワンマンショーをやったりね」
昔から〝支那美人〟といわれるように中国女性特有の美形。卵形の顔にニキビ
がチラホラ。
「顔は、まあまあ好好きね。でも、鼻は嫌い ニキビは、いくら薬を使っても治らないから諦めたの」といい、性格を「おとうさん似で気が強い方」と分析。
台湾の美容院で、注文通りの髪型にならずイライラしたことがあったそうで、
意外に気は短いよう。
来日早々のインタビューとあって「心はまだ台湾にあるのね。気持ちを入れかえるのが大変で…」といい、「半年に一回しか帰れない(ビザの書き換えで)こともあるけど、それに、日本では仕事と遊びの区別がむずかしいのよね」
だからというわけか、仕事を終えたその足で食事やショッピングに出歩くこと
を好まない。
歌を、仕事を「自分の命の一部」というぐらい厳しい彼女だがフッと「恋もし
たい。ショッピングの時、男の人にネクタイを買ってやるのなんていいね。女の
コは強すぎてはよくないよね」と22才の女性の姿も見せる。
「私ね。外国で自分の国のドレス(チャイナ・ドレス)を着てステージに立てる
ことを誇りに思ってる」という彼女の歌を聴いて、日本人が忘れかけている郷愁
を感じるというフアンは多い。
「言葉は通じなくても、歌は〝心と心〟という彼女。今、最新曲『あなたと生き
る』でその〝心〟を聴かせてくれる。
(写真キャプション)
■本名 鄧麗筠 一九五五年一月二九日生れ 台湾出身 趣味/読書
注・誕生日を「一九五五年一月二九日生れ」としているが、正しくは「1953年1月29日」。日本デビュー時には、19歳(正しくは21歳)とアナウンスされていました。
10月号
★調べます! 測ります! メジャーマンの
スター ボディー・チェック
第7回
テレサテン
髪…以前は東京・白金の「ブラック・ベイビー」でカットしてましたが、今は髪を伸ばそうと思って自分でシャンプーしています。美容院には行きません。
*頭まわり…54cm
*顔の長さ…18cm
*顔の幅…14.5cm
*ホクロ…顔にたくさんあります。
鼻の左下、眉、頬など。
*肩幅…36cm
*身長…165cm
*体重…48kg
*血液型…O型
*1ヶ月のおこずかい…きまっていないですね。化粧品とか、果物とか本を買うことが多いです。
*ヒップ…89cm
*好きな男性のタイプ…たくましくて、スポーツ・マンタイプ。そう加山雄三さんのような人。
*頭に小さい時にころんで10針位縫った手術のあとがあります。
*視力…左右とも1.2位かな? あまりはっきりわかりません。
*虫歯…ぜんぜんなし。白くて丈夫です。
*首まわり…29.5cm
*バスト82cm
*洋服やアクセサリーは香港に行った時にまとめて買うのです。東京より、安いし種類もたくさんあって、私には買いやすいのです。
*手首の太さ…13cm
*ウェスト62cm
*手のひらの大きさ18cm
*一日の食事…3回です。
*好きな食べ物… しゃぶしゃぶ、松茸、そしておさしみのトロが好き。
*嫌いな食べ物…うなぎ、こんにゃくはダメ。
*睡眠時間…平均7時間。
寝るときはパジャマです。
*お風呂は朝シャワーを浴びて、夜仕事がおわって家でシャワー。たまに30~40分位湯舟につかります。
*股下…80cm
*足首の太さ…20.5cm
*足の大きさ…23.5cm
*運動神経…いいほうだと思う。走るの駄目だけど、最後まで頑張ます。
本名/鄧麗筠(テン・リーチェン)
生年月日/昭和30年1月29日
出身地/台湾 国籍/中国
趣味/テニス・月に1回位、アメリカンクラブに通っています。
初恋/小学校3年の時、教育実習生の先生に。
自分の長所/やさしい、親切なところじゃないかしら。
自分の短所/あきっぽい(例えば刺しゅうをしたいと思って買ってきても2日位であきちゃったり……)
愛読書/中国の小説です。
大切にしているもの/家族
現在の住所/東京都渋谷区
マンションで洋室。ベッドルームが2つとリビング・ルームの3部屋です。
これからの抱負/曲を大ヒットさせたい。そして、コンサートも少しずつ増やしていきたい。